任用試験の教学入門と仏法の研鑽

兄弟抄:任用試験 2016 拝読御書

2016年 任用試験の拝読御書「兄弟抄(きょうだいしょう」について、任用試験受験者向けに、要点の解説をしています。文末に練習問題があります。

出来れば声を出して何回も拝読してから解説に進むと効果的です。

330px2016kyoudaisho.jpg

兄弟抄 の本文

『此の法門を申すには必ず魔出来すべし魔競はずは正法と知るべからず、第五の巻に云く「行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競い起る乃至随う可らず畏る可らず之に随えば将に人をして悪道に向わしむ之を畏れば正法を修することを妨ぐ」等云云、此の釈は日蓮が身に当るのみならず門家の明鏡なり謹んで習い伝えて未来の資糧とせよ。(御書全集:兄弟抄 1087ページ・15行目~18行目より引用)』

兄弟抄 の通解

この法門を説いていくならば、必ず魔が現れるのである。魔が競い起こらなければ、正法であると知ることはできない。天台の『摩訶止観(まかしかん)』の第5巻には、次のように述べられている。「修行が進み、仏法の理解が深まってくると、三障四魔が入り乱れて競い起こってくる。・・・これにしたがってはならない。恐れてもならない。これにしたがったならば、三障四魔は人を悪道に向かわせる。これを恐れたならば、仏道修行をさまたげられる」。この釈(しゃく)の文は、日蓮の身にあてはまるだけではなく、わが門流の明鏡である。謹んで習い伝え、未来にわたって信心の糧とすべきである。

兄弟抄 の要点解説

任用試験に特化した、兄弟抄のポイント解説です。

背景など

兄弟抄は、武蔵野国池上(むさしのくにいけがみ)の門下、池上宗仲・宗長(いけがみむねなか・むねなが)の兄弟とその夫人たちに送られたお手紙(御書)です。

池上家は、鎌倉幕府に仕える有力な工匠(こうしょう)ですが、父が兄弟の信仰に反対して、兄の宗仲を勘当(かんどう:あとつぎの権利をすべて奪った)したのです。

要点(ポイント)

仏法の理解と実践が進んだ時には「三障四魔」が必ず競い起こります。それは、天台大師の摩訶止観の文に『行解既に勤めぬれば』とあるとおりです。それは、私たちが「行学の二道」に励み、信心の確信が深まろうとしている時のことを言います。

七つの障魔(しょうま)、つまり「三障四魔」は「紛然として」、つまり入り乱れるようにして競い起こります。

日蓮大聖人は、障魔に紛動されないためには、「随(したが)ってはならない」・「畏(おそ)れてはならない」と仰せです。「随(したが)ってはならない」ためには、魔を魔であると見破る「智慧」が必要です。「畏(おそ)れてはならない」ためには、魔に立ち向かう「勇気」が必要です。南無妙法蓮華経の唱題行によって、「智慧」と「勇気」を発揮させて、いかなる障魔をも打ち破ることができるのです。

練習問題

◆ 兄弟抄は誰に与えられたお手紙(御書)ですか?

◆ 下記の御文の、①、②、③に入ることばは何ですか(①は2つ)?

『此の法門を申すには必ず[ ① ]出来すべし[ ① ]競はずは正法と知るべからず、第五の巻に云く「行解既に勤めぬれば三障四魔[ ② ]として競い起る乃至随う可らず畏る可らず之に随えば将に人をして悪道に向わしむ之を畏れば正法を修することを妨ぐ」等云云、此の釈は日蓮が身に当るのみならず門家の[ ③ ]なり謹んで習い伝えて未来の資糧とせよ』

以上。