十界互具(じっかいごぐ)、十如是(じゅうにょぜ)、三世間(さんせけん)の3つ法理が一念三千を構成しています。以下、青年教学3級試験(初級試験)の出題範囲である「十界互具・十如是・三世間」について、その要点をまとめると共に、文末には、関連する練習問題と解答を掲載しています。
以下、十界互具・十如是・三世間のそれぞれを見て行く。
十界互具
十界の生命とは以下のとおり。
①地獄界(じごくかい)、②餓鬼界(がきかい)、③畜生界(ちくしょうかい)、④修羅界(しゅらかい)、⑤人界(にんかい)、⑥天界(てんかい)、⑦声聞界(しょうもんかい)、⑧縁覚界(えんかくかい)、⑨菩薩界(ぼさつかい)、⑩仏界(ぶっかい)。
この十界のおのおのの生命に十界が具わっていることを「十界互具」という。仏も九界の衆生も共に十界を具えており、本質的に皆平等であることを明かしている。
十如是
十如是は、生命境涯の因果の法則を事物の本体及び機能面から捉えた法理。十界のどのような衆生・環境も等しく十如是を具えている。
十如是とは十のこのようなもの(如是)という意味。
十如是のそれぞれのあり方は生命境涯に応じて異なるが、衆生がこの十如是を平等に具えているという側面とその因果の法則は全て共通する。
- 如是相(にょぜそう):表面の形、様相(たえまなく変化)。
- 如是性(にょぜしょう):性質、性分。
- 如是体(にょぜたい):相と体を具えた主体。
- 如是力(にょぜりき):内在する力(潜在能力)。
- 如是作(にょぜさ):内在する力が外界の他にはたらきかける作用。
- 如是因(にょぜいん):内在する結果を生み出す直接的原因。
- 如是縁(にょぜえん):因(如是因)にはたらき結果へ導く補助的な原因。
- 如是果(にょぜか):因(如是因)に縁(如是因)が結合して内面に生じた目に見えない結果。
- 如是報(にょぜほう):果(如是果)が外に現れ出た報い。
- 如是本末究竟等(にょぜほんまつくきょうとう):相(如是相)から報(如是報)までの全てが一貫性を持っているということ(例えば地獄界の衆生であれば、相から報まで一貫して地獄界の如是)。
三世間
十界の生命それぞれ、一つ一つの違いは、「五陰世間」「衆生世間」「国土世間」の三つの次元に現れる。世間とは違い・差異のこと。
衆生世間
衆生は生命境涯に十界それぞれの違いがあるということ。
五陰世間
衆生は「五陰」という要素で構成されていて、十界それぞれの違いから、五陰にも違いがある。衆生は固定的な実体の無い「五陰」という「存在やはたらき」が仮に集まって成立したもので常に変化している。その「存在やはたらき」とは以下のとおり。
- 色陰(しきおん):生命体を構成する物質的な側面のこと。
- 受陰(じゅおん):眼耳鼻など、六根(ろっこん)といわれる知覚器官を通して外界を感じるはたらきのこと。
- 想陰(そうおん):受け入れた外界の情報を心に想いうかべるはたらきのこと。
- 行陰(ぎょうおん):心に想いうかべたものを行為へと結びつける意思・欲求などの心の作用のこと。
- 識陰(しきおん):認識し識別するはたらきのこと。
国土世間
衆生の生命境涯に応じて、衆生が住する国土・環境に違いがあること。
心のあり方で、自身と環境の全てが変わる。故に、『三世間の法理からは、五陰が変われば衆生も国土も変わる』ことがわかる。
十界互具・十如是・三世間の練習問題
【問1】「地獄界から仏界に至る、十界のおのおのの生命に、さらに十界が具わっていることを【 A 】という。つまり、【 A 】の法理では、仏も九界の衆生も共に十界を具えており、本質的に皆【 B 】であることを明かしている」、の文の【A】と【B】に入る言葉は何か?
【問2】十如是は、生命境涯の【 C 】を事物の本体及び機能面から捉えた法理であり、十界のどのような衆生・環境も等しく十如是を具えている」、の文の【C】に入る言葉は何か?
【問3】十如是の中で、「内在する結果を生み出す直接的原因」となるのは何か?
【問4】三世間を構成する3つの次元(違う3つの見方)をそれぞれ何と言うか?
【問5】三世間の法理の中で、「衆生は生命境涯に十界それぞれの違いがあること」を説いている法理を何と言うか?
【問6】三世間の法理の中で、「衆生は固定的な実体の無い存在やはたらきが仮に集まって成立したもので常に変化している」、と説いているのは何と言う法理か?
【問7】三世間の法理の中で、「衆生の生命境涯に応じて、衆生が住する国土・環境に違いがあること」を説いている法理を何と言うか?
<練習問題の解答>
問1:【A】:十界互具、【B】:平等
問2:因果の法則
問3:如是因
問4:①五陰世間、②衆生世間、③国土世間
問5:衆生世間
問6:五陰世間
問7:国土世間