任用試験の過去問題集と良く出る設問

三障四魔 難を乗り越える信心 任用試験の教学入門

成仏を目指す仏道修行の途上には、「三障四魔(さんしょうしま)」という妨げや障害が起こります。

三障四魔とは三つの障り(三障)と四つの魔(四魔)のことです。

障(しょう)とは、障り、妨げのことで、魔とは、信心する修行者の生命の内側から「生命の輝きを奪う」働きのことです。奪命者とも言われます。

「行解(ぎょうげ)既(すで)に勤めぬれば三障四魔紛然として競い起る乃至(ないし)随(したが)う可(べか)らず畏(おそ)る可らず(兄弟抄 御書1,087ページ)」
★三障四魔は、正法を修得する妨げです。恐れてはいけません。従ってはいけません。

「凡夫の仏になる又かくのごとし、必ず三障四魔と申す障いできたれば賢者(けんじゃ)はよろこび愚者(ぐしゃ)は退くこれなり(兵衛志殿御返事 御書1,091ページ」
★三障四魔が出る、ということは、正しい仏道修行をしている証拠です。故に、「賢者はよろこび愚者は退く」のです。信心の賢者であらねばなりません。

次に、三障四魔の三障(さんしょう)と四魔(しま)の個々の説明です。

三障とは

三障とは、煩悩障(ぼんのうしょう)・業障(ごうしょう)・報障(ほうしょう)の三つです。

  1. 煩悩障 : 貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、癡(おろか)などの、自身の煩悩が、信心修行の妨げになること。
  2. 業 障 : ※悪業(あくごう)によって生じる、信仰や仏道修行への妨げのこと。
  3. 報 障 : 過去世の悪業の報いとして現世に受けた悪い境涯が、仏道修行の障りとなること。

※悪業とは:悪い行いのことで、仏法では五逆罪(ごぎゃくざい)や十悪業など。

四魔とは

四魔とは、陰魔(おんま)・煩悩魔(ぼんのうま)・死魔(しま)・天子魔(てんしま)の四つです。

  1. 陰 魔 : 信心修行者の※五陰(ごおん)の活動の不調和が、信心修行の妨げとなること。
  2. 煩悩魔 : 貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、癡(おろか)などの、煩悩が起こって信心を破壊すること。
  3. 死 魔 : 修行者の生命を断つことによって修行を妨げようとすること。他の修行者等の死によって信心に疑いを生じさせることも。
  4. 天子魔 : 他化自在天子魔(たけじざいてんしま)の略で、他化自在天王(第六天の魔王)による働きであり、最も本源的な魔。

※五陰とは:肉体や心の働きのこと。

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第六天の魔王(他化自在天王)について

天上界のうち、いまだ欲望に捉われる6つの天界を六欲天(ろくよくてん)といい、その最高位が他化自在天です。この他化自在天の魔王のことを、他化自在天王または、『第六天の魔王(だいろくてんのまおう)』と言います。

この第六天の魔王の働きが、仏道修行の妨げや破壊となって現れるのが、四魔の中でも、最も根源的な「天子魔」です。権力者等の身に入るなどの様々な形で、あらゆる力をもってして仏道修行者に迫害を加えてくる、というものです。

生命には、元品の無明(がんぽんのむみょう)といって、根源的な迷いの生命があります。これが形として現れたものが第六天の魔王です。反対に、元品の法性(がんぽんのほっしょう)が仏界の生命です。

日蓮大聖人は「元品の法性は梵天・帝釈等と顕われ元品の無明は第六天の魔王と顕われたり(治病大小権実違目 御書997ページ)」と仰せです。

「梵天・帝釈等と顕われ」とは、諸天善神(しょてんぜんじん)のことで、仏道修行者を守護するあらゆる働きのことです。