御書

蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なりとは?崇峻天皇御書の講義

 

2024年1月度の座談会御書は、「崇峻天皇御書(すしゅんてんのうごしょ)」です。別名を「三種財宝御書(さんしゅざいほうごしょ)」とも言います。

 

今回の座談会御書に拝読範囲に述べられている、「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり」とは、いかなることを仰せになっているのか?

 

日蓮大聖人の御金言を学んで参りたいと思います。

「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり」とは?心の財こそ最大一!

 

讒言(いわれない嘘)によって、窮地にあった四条金吾ですが、大聖人の指導のままに信心根本で苦境脱出の糸口へと漕ぎつけた状況を大聖人にご報告。

その御返事が「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」です。

 

崇峻天皇御書全般を拝読すると、その最後のところにーー

 

不軽菩薩の人を敬いしは、いかなることぞ。教主釈尊の出世の本懐は人の振る舞いにて候いけるぞ。(1御書新版:1597頁1行目から12行目)

 

と結ばれています。

 

どこまでも誠実な振る舞い、人間性の輝きこそが肝心であるとされていますが、そのことが、以下の拝読範囲の御文に繋がっていきます。

 

「中務三郎左衛門尉は、主の御ためにも、仏法の御ためにも、世間の心ねも、よかりけり、よかりけり」と、鎌倉の人々の口にうたわれ給え。

 

では、人間性の輝き・力とは何によってもたらされるのでしょう?この点が、今回の拝読御書「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」のポイントになって参ります。

 

いわくーー

  • 蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり。

 

  1. 蔵の財(くらのたから):お金、財力など
  2. 身の財(みのたから):健康、才能、身に付けた能力など
  3. 心の財(こころのたから):生命に積んだ福徳、心の豊かさ

 

心の財とは、言い変えれば、信心によって磨いた心であり、信心によって築いた豊かな生命境涯のことです。

この心の財があってこそ、蔵の財も身の財も自在に活かしきっていくことが出来るのです。故に日蓮大聖人は、この「心の財」を積むことこそが、「人生の根本目的」であると仰せになっています。

 

「教主釈尊の出世の本懐は人の振る舞いにて候いけるぞ」との大聖人の御金言は知っていましたが、それが、「心の財」を積むことの重要性に繋がるのだということを、改めて学ばせていただきました。

2024年1月20日。

崇峻天皇御書(2024年1月度の座談会御書)の拝読範囲の本文と通解

 

2024年1月度の座談会御書「崇峻天皇御書(三種財宝御書)」の拝読範囲の本文と通解は以下のとおりです。

 

本文

「中務三郎左衛門尉は、主の御ためにも、仏法の御ためにも、世間の心ねも、よかりけり、よかりけり」と、鎌倉の人々の口にうたわれ給え。あなかしこ、あなかしこ。蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり。この御文を御覧あらんよりは、心の財をつませ給うべし。(御書新版:1596頁7行目から10行目・御書全集:1173頁14行目から16行目より)

通解

「中務三郎左衛門尉(=四条金吾)は、主君に仕えることにおいても、仏法に尽くすことにおいても、世間における心がけにおいても、素晴らしい、素晴らしい」と、鎌倉の人々の口にうたわれていきなさい。蔵に蓄える財宝よりも身の財がすぐれ、身の財よりも心に積んだ財が第一である。この手紙をご覧になってから以後は、心の財を積んでいきなさい。

 

以上です。