法華経28品の一覧表に各品ごとにあらすじを付して、解説(要点)へのリンク等、「青年3級・初級試験」のために便宜を図っています。
法華経28品は、「万人の成仏」を説き明かした、大乗仏教の精髄となる経典です。そして、「青年部教学試験3級・教学部初級試験」では、この法華経の主要な法理が出題範囲となっています。
出題対象の主要な法理は以下のとおりです。各法理のリンク先では、その「要点まとめ」と「練習問題」がご覧いただけます。
- 諸法実相と二乗作仏(方便品第2より)
- 久遠実成(如来寿量品第16より)
⇒上記1と2に関して「諸法実相と久遠実成」の要点と練習問題 - 地涌の菩薩(従地涌出品第15と如来神力品第21より)
⇒ 「地涌の菩薩」の要点と練習問題 - 不軽菩薩(常不軽菩薩品第20より)
⇒ 「不軽菩薩」の要点と練習問題 - 猶多怨嫉・況滅度後(法師品第10より)
- 六難九易(見宝塔品第11より)
- 三類の強敵(勧持品第13より)
⇒上記5・6・7に関して「末法の法華経の行者」の要点と練習問題
出題範囲の研鑽にあたり、また、今後の為にも、いったい「法華経28品」の全体がどんなものなのかを知ることは有益であり、理解を深めます。
以下、お目通しの上、研鑽の一助とされて下さい。
目次
- 1 法華経28品の一覧表とあらすじ(概要)
- 1.1 法華経迹門の各品
- 1.1.1 序品(じょほん)第1
- 1.1.2 方便品(ほうべんぽん)第2
- 1.1.3 譬喩品(ひゆほん)第3
- 1.1.4 信解品(しんげほん)第4
- 1.1.5 薬草喩品(やくそうゆほん)第5
- 1.1.6 授記品(じゅきほん)第6
- 1.1.7 化城喩品(けじょうゆほん)第7
- 1.1.8 五百弟子受記品(ごひゃくでしじゅきほん)第8
- 1.1.9 授学無学人記品(じゅがくむがくにんきほん)第9
- 1.1.10 法師品(ほっしほん)第10
- 1.1.11 見宝塔品(けんほうとうほん)第11
- 1.1.12 提婆達多品(だいばだったほん)第12
- 1.1.13 勧持品(かんじほん)第13
- 1.1.14 安楽行品(あんらくぎょうほん)第14
- 1.2 法華経本門の各品
- 1.2.1 従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)第15
- 1.2.2 如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)第16
- 1.2.3 分別功徳品(ふんべつくどくほん)第17
- 1.2.4 随喜功徳品(ずいきくどくほん)第18
- 1.2.5 法師功徳品(ほっしくどくほん)第19
- 1.2.6 常不軽菩薩品(じょうふきょうぼさつほん)第20
- 1.2.7 如来神力品(にょらいじんりきほん)第21
- 1.2.8 嘱累品(ぞくるいほん)第22
- 1.2.9 薬王菩薩本事品(やくおうぼさつほんじほん)第23
- 1.2.10 妙音菩薩品(みょうおんぼさつほん)第24
- 1.2.11 観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんぽん)第25
- 1.2.12 陀羅尼品(だらにほん)第26
- 1.2.13 妙荘厳王本事品(みょうしょうごんのうほんじほん)第27
- 1.2.14 普賢菩薩勧発品(ふげんぼさつかんぼっぽん)第28
- 1.1 法華経迹門の各品
法華経28品の一覧表とあらすじ(概要)
法華経28品の各品の一覧表に概要(あらすじ)を付しています。青年教学3級・初級試験にかかわる主要な法理が説かれる「品」には、これを【 】にして表記してあります。
各品の説明に頻繁(ひんぱん)に登場する用語・「授記(じゅき)」とは、「仏が弟子に成仏することを予言すること」です。
また、付嘱(ふぞく)という言葉が出てきます。付嘱とは、釈尊滅後の仏法の弘通を仏(釈尊)が弟子に託すことです。付嘱には総付嘱(そうふぞく)と別付嘱(べつふぞく)があります。総付嘱とは、正法・像法時代の弘通を託すことであり、別付嘱とは、悪世末法での弘通を託すことです。
法華経迹門の各品
法華経全28品の前半14品、迹門といわれる部分の各品です。
序品(じょほん)第1
霊鷲山(りょうじゅせん)の会座(えざ)に大衆が集まり、釈尊がさまざまな瑞相(ずいそう)を現じます。
方便品(ほうべんぽん)第2
説法が開始されます。諸法実相・十如是の法理が示され、また一仏乗(いちぶつじょう)の教えを説くことが、仏の出世の本懐であることが明かされます。
【諸法実相と二乗作仏】
譬喩品(ひゆほん)第3
法理を領解(りょうげ)した舎利弗(しゃりほつ)への授記があります。法理を理解できない弟子のために、「三車火宅の譬え(さんしゃかたくのたとえ)」を用いて説法がなされます。
信解品(しんげほん)第4
四大声聞(しだいしょうもん)の須菩提(しゅぼだい)、迦旃延(かせんねん)、迦葉(かしょう)、目連(もくれん)が領解したことが、「長者窮子の譬え(ちょうじゃぐうじのたとえ)」として示されます。
薬草喩品(やくそうゆほん)第5
四大声聞の領解が承認されます。「三草二木の譬え(さんそうにもくのたとえ)」を用いて、仏の慈悲が平等であることが説かれます。
授記品(じゅきほん)第6
四大声聞への授記がなされます。
化城喩品(けじょうゆほん)第7
三千塵点劫(さんぜんじんてんごう)という大昔に、大通智勝仏(だいつうちしょうぶつ)の16番目の王子(釈尊の過去世の姿)から化導されたのが在世の衆生であることが説かれます。「化城宝処の譬え(けじょうほうしょのたとえ)」が説かれます。
五百弟子受記品(ごひゃくでしじゅきほん)第8
富楼那(ふるな)への授記がなされます。さらに授記を得た五百人の弟子が歓喜して「衣裏珠の譬え(えりじゅのたとえ)」を述べます。
授学無学人記品(じゅがくむがくにんきほん)第9
阿難(あなん)、羅候羅(らごら)をはじめ、学(学ぶべきことが残っている者のこと)・無学(学ぶべきことが残っていない者のこと)の弟子、二千人に授記がなされます。
法師品(ほっしほん)第10
法華経の弘通者(法師)、受持(じゅじ)・読(どく)・誦(じゅ)・解説(げせつ)・書写(しょしゃ)の五種の妙行(ごしゅのみょうぎょう)、弘通の方軌(衣座室の三軌:えざしつのさんき)が明かされます。
【猶多怨嫉・況滅度後】
見宝塔品(けんほうとうほん)第11
宝塔が出現します。多宝如来が、釈尊の説法は真実であることを保証します(多宝の証明)。この品から虚空会の説法が開始されます。
【六難九易】
提婆達多品(だいばだったほん)第12
提婆達多への授記(悪人成仏)と竜女の即身成仏(女人成仏)が説かれます。
勧持品(かんじほん)第13
菩薩による滅後弘通の誓いがなされます。「二十行の偈(にじゅうぎょうのげ)」で三類の強敵が示されて、仏滅後の弘通者が必ず迫害を受けることが説かれます。
【三類の強敵】
安楽行品(あんらくぎょうほん)第14
初信の行者のために身(しん)・口(く)・意(い)・誓願(せいがん)の四安楽行(しあんらくぎょう)という摂受(しょうじゅ)の修行が示されます。「髻中明珠の譬え(けちゅうみょうじゅのたとえ)」が説かれます。
法華経本門の各品
法華経全28品の後半14品、本門といわれる部分の各品です。
従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)第15
地涌の菩薩の出現。弥勒菩薩の問いに対し、釈尊が、久遠の昔から教化してきた弟子であると説く。
【地涌の菩薩】
如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)第16
『久遠五百塵点劫に成道して以来、娑婆世界で衆生を教化してきた仏である』と釈尊の本地を明かす。「良医病子の譬え」で説明。
【久遠実成】
分別功徳品(ふんべつくどくほん)第17
法華経の功徳について、在世の四信と滅後の五品があることを示す。
随喜功徳品(ずいきくどくほん)第18
五十展転の功徳を説いて、滅後に法華経を広めることを勧める。
法師功徳品(ほっしくどくほん)第19
滅後弘通の法師が六根清浄の功徳を受けることを説いて、法華経の弘通を勧める。
常不軽菩薩品(じょうふきょうぼさつほん)第20
釈尊の過去世の姿である常不軽菩薩が万人を敬う礼拝行を実践して罪障消滅の功徳を得たことを説く。
【不軽菩薩】
如来神力品(にょらいじんりきほん)第21
地涌の菩薩が滅後の弘通を誓った時、釈尊が十神力を示し、滅後の弘通を上行菩薩をはじめとする地涌の菩薩に託す(別付嘱)。
【地涌の菩薩】
嘱累品(ぞくるいほん)第22
全ての菩薩に付嘱(総付嘱)。十方の諸仏が本土に帰り、虚空会での説法が終了する。
薬王菩薩本事品(やくおうぼさつほんじほん)第23
薬王菩薩の過去世を通して滅後弘通の功徳を示し、十喩を述べて法華経が諸経に対して第一であることを強調。釈尊滅後の広宣流布を予言する。
妙音菩薩品(みょうおんぼさつほん)第24
妙音菩薩が三十四身を現じて妙法を弘通し、衆生を教化することを説く。
観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんぽん)第25
観世音菩薩が三十三身を現じて衆生を教化することを示し、法華経の弘通を勧める。
陀羅尼品(だらにほん)第26
薬王菩薩、勇施菩薩、毘沙門天、持国天、十羅刹女が神呪を説き、法華経の行者の守護を仏に誓う。
妙荘厳王本事品(みょうしょうごんのうほんじほん)第27
妙荘厳王を夫人と息子たちが正法に帰依させた話を通し、法華経弘通の功徳を示す。
普賢菩薩勧発品(ふげんぼさつかんぼっぽん)第28
普賢菩薩が法華経の行者と法を守護するとの誓願を立てる。法華経の説法が終了し、会座の大衆は歓喜して去る。